塗膜剥離
塗装治具の洗浄剤を見直して、月の薬剤費を70%下げた話(タイ・自動車部品工場の事例)
塗装ラインでは、製品を載せる治具やハンガーにも、塗装のたびに塗膜が付きます。治具を洗わずに使い続けると、塗膜が厚くなって製品の位置がずれたり、はがれた塗膜のかけらが製品に付いたりします。そのため、治具の洗浄は塗装工場の定期作業です。
今回は、タイの日系自動車部品メーカーから「治具の洗浄剤の費用が高い。環境と作業者の負担も考えて見直したい」と相談を受けた事例です。
相談いただいたときの状況
- 対象:塗装リングを搬送する治具(直径約320mm、リング状)
- 本数:3工場あわせて約600本。60本を1セットとして、設備から外す→洗う→ラインに戻す、を繰り返す
- 頻度:週1回。年4回は全数を一気に洗う
- 洗い方:300Lの槽でジクロロメタン系洗浄剤に5分浸ける→1本3分のブラシ磨き→100Lの仕上げ槽で1分
- 薬剤費:月に平均約31万バーツ(約140万円)
ジクロロメタン系の洗浄剤は、塗膜をよく溶かします。ただ、揮発しやすく、においが強く、日本では特定化学物質として作業環境の管理が求められる薬剤です。使用量が多いほど、費用も作業者の負担も増えます。
テストしたこと
化研テックの塗膜剥離剤 STRIAL UM-25U で、実際の治具を洗いました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 薬剤 | STRIAL UM-25U(原液のまま) |
| 液量 | 60L(20L缶 × 3) |
| 温度 | 約90℃(ヒーターで加温) |
| 時間 | 浸漬10分 |
| 後処理 | 軽く拭き取り |
洗浄前
洗浄後
No.1




結果は、10分の浸漬で塗膜が落ち、軽く拭くだけできれいになりました。洗浄前の治具は塗膜が重なって黒くなっていましたが、洗浄後は金属の地が出ています。
ひとつだけ目安があります。洗浄に50分以上かかるようになったら、液の交換時期です。塗膜を溶かし込んで液が疲れてくると、時間が延びます。
切り替えたあとの費用
お客様が8か月使った実績をもとに、切り替え前後の薬剤費を比べました。
単価
ジクロロメタン系(切り替え前)15,900バーツ/200L缶(約80バーツ/L)
STRIAL UM-25U(切り替え後)9,500バーツ/20L缶(475バーツ/L)
月の使用量
ジクロロメタン系(切り替え前)約4,000L(約19.4缶)
STRIAL UM-25U(切り替え後)約190L(約9.7缶)
月の薬剤費
ジクロロメタン系(切り替え前)約309,000バーツ
STRIAL UM-25U(切り替え後)約92,000バーツ
月の薬剤費は約70%下がりました。
リットル単価だけを見ると、STRIAL のほうが6倍ほど高く見えます。それでも費用が下がった理由は、使用量です。ジクロロメタン系は揮発で減るぶんを足し続ける必要があります。STRIAL UM-25U も加温するので揮発はしますが、液が減ったら水を足して(この現場では2回ほど)長く持たせています。そのため補充量が大きく減りました。
切り替えにあたって変えたこと

- 既存の洗浄槽にヒーターを付けて、液を70〜90℃に保てるようにしました
- ブラシ磨きの工程を減らし、「浸ける→軽く拭く」の2工程にしました
- STRIAL UM-25U は消防法、有機溶剤中毒予防規則、毒物及び劇物取締法の対象外です。保管と取り扱いの管理が軽くなりました
この事例から言えること
- 治具の洗浄剤は「リットル単価」ではなく「月にいくら使うか」で比べる
- 揮発する溶剤から、加温して浸ける剥離剤に替えると、使用量そのものが減る
- 液の交換時期は「洗浄にかかる時間」で判断できる
よくある質問
Q. うちの治具でも同じように落ちますか?
塗料の種類(エポキシ、ウレタン、アクリル、粉体など)と治具の材質で結果が変わります。治具を1〜2個お預かりして、無料で剥離テストをします。
Q. アルミの治具にも使えますか?
UM-25U は弱アルカリ性で、アルミには注意が必要です。アルミの治具には中性の UM-21U をおすすめします。
Q. 加温は必ず必要ですか?
STRIAL は70〜90℃(UM-25U)で性能を出します。既存の槽にヒーターを付ける方法と、加温槽を新しく用意する方法があります。
治具の洗浄剤の費用や、作業者の負担でお困りでしたら、お気軽にご相談ください。塗料の種類と治具の材質を教えていただければ、無料剥離テストで結果をお見せします。
